さらば工学部

今日届いた日経ビジネスが、「さらば工学部」という衝撃的なタイトルだったので急いで読んだ。
内容は、工学部の不人気が進み思うような人数が確保できない点と、「東大」「京大」でも学力低下が進んでいるという二つの問題点を上げ、もう大学の工学部には頼ってはいけないという問題提起から始まる。「鉄は熱いうちに打て」ということで、工業高校や高専の学生を教育し優秀な人材を育てるという企業が取り組み載っていた。

 昔から大企業では、大学教育は飾りだと言っていたような、気がするのは、きっと大学が即戦力になるほどの技量を持つ学生を育てるところではないのと、大学で遊んであまり勉強をしていなかったりするところに理由があるのかと思う。それなら、身につかない勉強を四年間した人を取る必要性は必ずしもなくて、工業高校の学生を取ったほうが技能があるし、この人たちに早い段階で技術を教えようという流れはとても自然だ。パソコンにまったく興味のないが優秀な仕事をする文系プログラマがいるように、これからは特に興味はないけどやたら旋盤の使いがうまい人とか出てくるのだと思う。そうなると、指が器用だから技能で食って生きたいという人材は大学にくるだけ損だったということになる、会社に入るということだけ考えると。

団塊世代の退職で一時的にたくさんの社員を取りたかったが、去年で取りきれなかった会社が今年も大量の募集をかけると思う。そこで取った学生はゆとり教育1代目。ここで考えられる最悪のパターンが、この新入社員の出来が悪いことだ。次の年のゆとり世代2世代では確実に技能者というのを減らしてくる。そして、就職氷河期だったころの優秀な人材に、いまさらになって気がつき中途採用というのが流行るだろう。
1世代目の人には申し訳ないがたぶん高い確率でそうなる。経営陣が読むとされるこの雑誌で、ゆとり教育世代というのが連呼されているし、大半の大人が「甘やかされてすごしてきた世代だから勉強しない」という印象を思っている。勉強熱心な人でも君はよくやっているね、という例外扱いになるのは目に見えている。ゆとり教育2世代目はなにを武器に闘えばいいのか?大学の成績でもないし、卒業研究でもない。(3年に就活をしているんだからまだ研究室も決まってないはず) ほら、大学でやったことなんて就職に何も関係がない。俺の周りの社会人の人が大学は遊ばないと損だよという理由がはっきりした。数学、物理、化学を使って仕事をする工学部の人間ですら、勉強しなくても就職できるのである。社交性があって、要領よく勉強できるスキルがあればOK。
これは就活に限定した話で、実際入社してみれば使えない人材といわれるだろう。でも、そこから勉強する気のある人はどうにでもなるし。産業界では使えないことを在学中に突き詰めて勉強しましたとか言われたところで役に立たないものはいらないし。
むしろ問題は、適当にやっててもどうにかなることだと思う。今の団塊の世代がいい仕事をしたのは、もたもたしてると食いっぱぐれるからで必死だったからだ。今の俺たちの世代にはそいういった危機というのがまったく存在しないところが問題なんだと思う。バイトすればそこそこのお金がもらえるし、授業料だって生活費だって親が普通に負担してくれるし、就職できなくてもぶっちゃけ生きていける。ようするに戦後の高度経済成長は、火事場の馬鹿力によってなされ、火事も起きてないのにそんなに力でるかよというのが俺たち若者の本音なのかなぁ?この閉塞感。。。これがスカイクロラで押井監督が言いたかったことなのかな。
これは、城 繁幸さんのいう昭和的価値観で理想とされてきたものを追い求めることからくる閉塞感でもある。古い価値観で重視されてきた均質で優秀な人材になろうとするからうんざりするわけで。しっかり自分だけの価値観とやらを持たなければいけないなぁと思った。ふむ、難しすぎてよくわからなくなったので、またの機会に解決策を考えることにしよう。
とにかく今は好きなことだけをやっていよう。