国際化の中で日本人はいかに戦うか

しかし「人材として一番優秀な層がエンジニアにならない」日本の現状を考えると、頭の良い上位層の人間をプログラマーとして育成しているインドや中国、ロシアなどに勝つためには、日本しかできないことを持てない限り、日本は先進国として豊かなままでいることはできないのではないでしょうか。

例えば弊社内でインド人の一般的なプログラマーとベテランの日本人プログラマーを組ませて開発をさせると、残念ながらインド人のエンジニアは、単純なプログラミングであれば日本人の倍近いスピードで開発をします。それでもインドに行けば、そのエンジニアは最低レベルです。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081021_headwaters/

仮定
A.仕事が速い人
B.柔軟性が高い人
もし、仕事の速さではA>B かつ、応用力ではA < Bとする。

このように仮定してみると話はとてもわかりやすい。平たくいえば、柔軟性の高い人がプロジェクトを統括し、仕事が速い人に仕事を割り当てていけばいい。適材適所だ。


 Cellでいうところの、PPEとSPEである。PPEは、予測分岐機能は備えるが計算自体はとても遅い。また、SPEは、計算は速いが一人では効率よく仕事をすることができない。お互いの長所を生かし、Cellという高速のプロセッサーとなっている。

 ここで、PPEとSPEの数に注目したい。Cellの中には、1個のPPEと8個のSPEが入っている。要するに、リソースマネジメントをするPPE(B) << 高い計算能力を持つSPE(A) である。改めて書くまでもなく、これは当たり前だ。


 まず、優秀な外国人労働者が入ってきたときを、考えてみよう。ただし、ここで考えるのはSPEとしての仕事の速さが日本人以上の人しか日本に来ないとする。これは分かりきった話で、市場原理に従い、外国人労働者が入ってくれば入るだけ、SPEの日本人は職を失う。

 SPEとして勝ち目がないとすると、PPEとして価値を見いだそうとする日本人が増えるだろう。わかりやすくいうと、優良企業に入って年功序列で一生会社に尽くそうと考えていた人が、のんびりやっていたのではダメなことに気づくのである。そしてPPEとなりたい人は増加し、PPEとなる人も増えるだろう。しかし、PPE << SPEなので、SPEが圧倒的に足りなくなる。


 仕事が完全にマニュアル化され誰でもできるような仕事は、慢性的に人不足に悩んでいるような気がする、あくまで主観だが。これが間違いであっても、少なくとも俺はそういうところでずっと働きたくない。学生やおばちゃんが、お小遣い稼ぎにやるのみである、“安い”しね。このような仕事にしか就けなかった場合、ワーキングプアーとなる。

 ちなみにこのエントリーでは、「優秀なSPEである、外国人労働者が入ってくると」という仮定から始めた。そうすると、下位の仕事の枠が増えた。何が言いたいかというと、産業界が人材不足が深刻化し、外国人労働者を入れようとしているが、PPE << SPEが成り立つ以上、結局入ってきた人数に比例してやはり人材不足は膨れあがる。(経済が飽和しないとする)


 つまり、産業界がほしいのは優秀なSPEではない。そしてその人たちが今の下位の仕事をまかなうようになる。そうなれば、ワーキングプアーだった日本人はもうちょっとマシになり、外国人労働者ワーキングプアーとなる。外国人労働者が増えると犯罪が増えるというのは感情論だと思っていたが、今回考えた限りではあながち間違いではなさそうだ。
 今まで、大企業は安定し、中小企業は景気に振り回されるといった感じだった。DRAMも相当な額を投資してしまったばかりに、生産調整することが許されず赤字でもいいから製造を続け、たたき売りし続けた。大企業は大きいが故に、方向を変えることすらできずに火の中に突っ込んだ。体力があるので、燃え尽きるわけではないが。会社が大きいことは、高リスクとなっている。

 一人あたりのGDPが大きくなるのはいいとして、「会社を大きくすればいい」や、「GDPは上昇して当たり前」みないな考え方はもう通用しない。もう人口の減少は始まっているのだから。